茉莉花ちゃんは、前に本屋で再会したときと同じ制服姿だった。

私の姿を見ると、笑顔で大きく手を振る。




「葉澄ちゃん!」




今日の私に、その姿を見て「可愛いなぁ」と和んでいる余裕はなかった。




「茉莉花ちゃん。聞きたいことがあるの」


「え……?」




真剣に言えば、茉莉花ちゃんは不安そうに首をかしげる。


私は近くにあった椅子に腰を下ろして、昨日の黒板の件と柳沢くんと連絡が取れなくなったことを茉莉花ちゃんに詳しく話した。


私から一通り話を聞き終えた茉莉花ちゃんは、顔を青くしてうつむいていた。




「茉莉花ちゃんなら、何か知ってるんじゃない?」


「……うん。かなくんがそんな行動をした原因はたぶん、ううん、間違いなくわたし」




やっぱり。

今すぐ問い詰めたい気持ちはあったけど、茉莉花ちゃんがあまりにも辛そうな様子なので、話し始めてくれるまで静かに待った。