でも、やっぱりそう上手くはいかない。
翌日も、柳沢くんが教室に現れることはなかった。
終業式中も、校長先生の眠た……じゃなくて有難いお話が頭に入ってこない。柳沢くんのことが気になって仕方がない。
こんな落ち着かない気分のまま、冬休みを迎えるだなんて思わなかった。
「……では連絡は以上です。皆さんまた新学期に会いましょう」
担任のその言葉で解放されると同時に、私はまたスマホに柳沢くんからのメッセージが入っていないか確認する。
と、一件のメッセージが入っていた。
急いでアプリを起動させる。……けど、それは柳沢くんからではなかった。
『葉澄ちゃん!今授業終わったよ!先に駅で待ってるね!』
送り主は茉莉花ちゃん。
この前会ったとき、次は学校が午前で終わる終業式の日に遊ぼうと約束したんだった。
全くそんな気にはなれなかったけど、茉莉花ちゃんに会わないという選択肢はなかった。
彼女なら、今柳沢くんが『人殺し』の言葉に動揺して連絡を絶った理由を知っている。
そんな予感がしたから。



