だけど、なっちゃんの励ましが現実になることは、残念ながらなかった。
この日、柳沢くんの席はいつまでたっても空いたままで。
消えないペンで書かれた合間を縫いながら連絡事項を黒板に書いていく先生も、柳沢くんのことについては触れない。
私は何度もメッセージを送ったり電話を掛けたりしたけれど、どれにも反応はない。
ちなみに、高森くんはやっぱり風邪をひいて休んでいるみたいだった。体調を治すのに専念しているのか、こちらも連絡は返ってこない。
「……せっかく、メイクもして髪も可愛くしてきたのにな」
家に帰った私は、鏡に映る自分を見てため息をつく。
本当は今すぐにでも家を飛び出して柳沢くんの家へ行きたい。
でも、電話に出てもらえずメッセージも既読にならない今の状態は、もしかしたら私を拒絶しているのではないかと思えた。
だとしたら会いに行っても会ってくれないかも。
……明日は普通に学校に来てるかもしれないし。その可能性を信じよう。



