高森くんはそう言ってスマホを取り出し、一枚の写真を見せる。

その写真に映っていたのは、空手の道着姿で泣いている一人の女の子。




「僕の一つ下の妹です。もう引退していますが空手部に所属していて、この写真は大会でボロ負けした直後のものです」


「あ……じゃあもしかして」


「この時の相手が香田さん、貴女なんですよ。妹は悔しがると同時にそれ以来ずっと香田さんに憧れていて、他校生なのに見かければすぐに応援しにいっていました」




そう。何を隠そう、あの頃の私には他校にもたくさんのファンがいたのだ。


そういうこともあるのか……

思ってもみなかった身バレに大きくため息をついた。




「見た目とか結構変わったつもりなんだけどよくわかったね」


「はい。雰囲気が違うなとは思いましたけど、同姓同名の別人もそういなさそうですし」


「それもそっか」


「というか今ので何となくわかったんですが……奏多に握られていた弱みというのは、このことですね?」


「ハイ。おっしゃる通りで……」