「現役の選手みたいでした」
「ま、まあね」
「香田さんは、空手はもう完全に辞めてしまったんですか?あんなに強かったのにもったいない」
「うん。空手自体は好きだからまたやりたいなって思うんだけど、少なくとも高校生の間はやらないかな……」
…………ん?
あまりに自然に聞かれたから普通に答えてしまった。
背中にスーっと冷や汗が流れる。
「な、な、何で私が空手やってたって知ってるの⁉まさか柳沢くん、高森くんに言っちゃったの⁉」
自分が猫かぶってることを高森くんが知ってるから、平等に私の秘密も教えたみたいな⁉
いやいや、それは何も平等じゃないしダメだよ!契約違反でしょ!
なんて半分パニックになっていたけど、高森くんはきょとんとしていた。
「どうして奏多が出てくるんです?」
「え?」
あれ、柳沢くんは関係なし?
「実は、奏多に聞く前から香田さんのこと一方的に知ってたんです」



