私はそう言い捨てて、呆気にとられている様子の女の子の手を取った。




「走ってください!」

「は、はい!」



女の子の手を引いたまま、私は全力で走る。


途中で少し振り返ると、あの二人は完全に戦意を喪失していて、追いかけてくる気配はない。

特に赤髪の方なんて、いまだにうずくまっている。



あー、やっぱあそこって本当に痛いんだな……あの程度の人相手にあんなばっちり急所狙う必要なかったかも。


でもまあ力加減はしてあげたし、大丈夫でしょう。



「あ、あの!」



ぜえぜえと息を切らせた女の子が私の手を引っ張る。




「ありがとうございました!本当、助かりました!」




大きな目にサラサラの髪の毛。身長も低めで思わず「守ってあげたい」と思うような美少女だ。


あの赤髪の彼は私のことを「80点」なんて言ってたけど、この子は間違いなく「100点」だったんだろうな。同性の私から見てもそれぐらい可愛い。