「じゃあ、ただ仲が悪いだけ?」


「そういうわけでもないんですが……」


「え、まさか前世で殺し合った敵⁉」


「はい?」




おっと間違えた。

可能性①②が立て続けに否定されたから思わず。


私はわざとらしく咳払いして誤魔化した。




「二人のことは割とデリケートなことなので、僕の口からどこまで話して良いか迷うのですが……。そうですね……」




高森くんは考えるように私から視線を逸らした。




「先ほど『付き合ってはいなかった』と言いましたが、少なくとも外村さんは、奏多のことが好きだったようです。奏多の方は正直わかりませんが、外村さんの気持ちはあの頃周知の事実でした」


「やっぱり……」


「それでまあちょっと色々あって、中一の途中で外村さんは別の学校に転校していきました。家族で引っ越したと聞いたのでてっきり遠くに行ったと思っていたんです。近くの住沢高校にいると聞いて驚いたのはこれが理由です」