「なっ……あ、危なっ」




柳沢くんは持っていた紙コップを落としかけ、ギリギリ受け止める。

顔を赤くして、驚いた様子で私を見る。




「本当にするとは思わなかった……」


「ご、ごめん。そうだよね、冗談だったよね。ほんと、ちょっと当たっちゃっただけだから気にしないで……!」


「じゃなくて、好きな人にされて嬉しくないわけがないだろ……ああもう、何で俺はこんな振り回されてるんだ」




柳沢くんは色々と振り払うように、残りのカフェオレを一気に飲み干した。


……いやあの、私も十分すぎるぐらい振り回されてますが。




ちなみに。

茉莉花ちゃんと連絡先を交換したことについて話していなかったということと、漫画と現実はやっぱり違ったんじゃないかということに気が付いたのは、その日帰って寝る前になってからだった。