その理由は簡単。

大きく蹴り上げた私の足が、彼の股の間の急所を直撃したから。

我ながら綺麗なフォームだったな。


顔を青くした赤髪の彼は、痛む箇所を押さえながらへなへなとその場にしゃがみ込んだ。


金髪の方は目の前で起こったことがわからなかったらしく、一瞬ぽかんとする。

そして私の顔とうずくまる友人を三回ほど交互に見て、声を荒げた。



「何しやがんだこの女っ」



金髪の彼は私に掴まれた手を振りほどき、そのまま殴り掛かろうとした。──のだと思う。


だけど残念ながら、まず手を振りほどくことすら叶わなかった。



「なっ……」



私がちょっと力を入れてやれば、金髪の彼の手はびくともしない。彼は掴まれた手を凝視して口をパクパクさせる。

私はそんな彼に向けてもう一度笑顔を浮かべて、腹部に強めの拳を入れた。



「ぐっ……」



金髪の彼は、苦しそうな声を上げてふらつき、しりもちをついた。



「あのね、メイクするのもスカート短くするのも、あなたたちみたいな奴らのためにやってるわけじゃないんだから!」