その時の可愛い女子高生が、目の前のこの子だ。
「思い出してもらえて嬉しいです!ずっとお礼を言いたくて探してたんです!」
彼女はきらきらと上目遣いで私を見る。
か、可愛いっ……。
「そんな、あなたが無事だっただけで十分ですよ」
「わたし、外村茉莉花って言います!住沢高校の一年生です。あの、先輩の名前をお聞きしても……?」
「あ、いや、先輩じゃなくて同い年!桜崎高校一年の香田葉澄です」
「ひゃっ、そうだったんだ。こうだはすみちゃん。勝手に先輩かと……!」
勘違いとはいえ、こんな可愛い子に先輩と呼ばれるのは悪い気はしない。
空手部時代はこんなふわふわした雰囲気の後輩にちやほやされることもあったなあ、なんて。
「あの、お時間あったらこれからお茶でもしませんか……?」
外村茉莉花さんは、目を輝かせながら言う。
一人だったら「是非!」と即答したところだけど、残念ながら今は柳沢くんを待っている最中。



