可愛らしい声に呼び掛けられた。
振り返ると、声と同じくとても可愛い制服姿の女の子がじっと私の顔を見ていた。
制服は、頭が良いことで知られる住沢高校の物だ。
「やっぱりあの時の!わたしのこと覚えてませんか?」
「えっと……?」
住沢高校には中学時代の同級生が何人か行っているはずだけど、それ以外に知り合いはいないはず。
だけど言われてみれば、確かにどこかで見たことあるような。
うーん、こんな美少女なら覚えていそうなものだけど。
「あ、いや、覚えてないなら全然良いんです!」
「ご、ごめんなさい……」
「えと、前に駅前で男の人に絡まれてるところを助けて頂いた者です」
駅前で……男の人に絡まれて……私が助けた……?
「ああっ!」
金髪と赤髪のチャラそうな男たちと、彼らに言い寄られていた可愛い高校生の女の子。
誰も助けに入らないので見かねて間に入り、男性にとっての急所を蹴り上げるなどした。
……そう。柳沢くんに秘密を知られるきっかけとなった例の件である。



