そして私はといえば、素の柳沢くんに言われるそんな言葉に慣れなくて、いちいち動揺してしまう。
そんな私を見て、柳沢くんはこれまた“見る者を気絶させる破壊力満点スマイル”ではない、自然で柔らかな笑みを見せる。
「一カ月以内にどうにか口説き落とさないといけないみたいだからね」
一カ月。
友情としての「好き」を長らく恋だと勘違いしていた女が本当の恋を知るには、あまりに短いのかもしれない。
だからこそ、こうして彼と過ごす一秒一秒を真剣に向き合わないと。
──目的のショッピングセンターに到着すると、まっすぐ本屋さんに向かった。
柳沢くんが使っているという参考書とその他オススメの物を選出してもらい、多くはないお小遣いと相談しつつ厳選する。
迷いに迷って二冊に絞り「これを使って絶対勉強するぞ」と意志を固くする。その意志がどれぐらい持つのかは不明だけど。
「文房具の店見てくるけど、ハスはどうする?」
「あ、私はもうちょっと本屋さんにいるね」



