「香田、ちょっと来い」




コワモテ数学教師から名指しで呼び出しを食らったのは授業終わりのこと。

その口調から、決して褒められるわけではないのはよくわかる。


びくびくしながら先生の前に行けば、ただでさえ怖い顔をしてるのに、案の定さらに眉を吊り上げていた。




「不合格の小テスト、追試で合格するまで6回もかかってるのなんて、おれが受け持ってる中で香田だけだぞ」


「……はい」


「中間の時はクラス平均超えてたのにどうした。テスト前だけじゃなくて普段から油断するな」




テストの時は柳沢くんに勉強を見てもらって死ぬ気で勉強したから良かったけど……。

まあ、普段からあのレベルで頑張れと言われても無理ですよ。はい……。




「数学が得意な友達にでも勉強法を聞いておけ。そいつが何か参考書でも買ってたらとりあえず真似してみろ。自分に合った方法なんて色々試さないと見つからないからな」