色とりどりのマシュマロの中から薄桃色のものを選んで爪楊枝を刺す。
「はい、口開けて」
ただ口の中に入れてあげるだけ。何てことない。
何てこと、ないはず。
なのに……
目を閉じて口を開ける柳沢くんに手を近づけるごとに、心臓の音がドクドクと大きくなっていく。
……な、何これ。すごく恥ずかしい。
もう無理……と思いながらどうにか口元にマシュマロを持っていくと、柳沢くんは唇で受け取ってから器用に舌を使って口の中に入れ、ゆっくりと咀嚼する。
その様子は何と言うか、……色っぽい。
「ふーん、いつも食べるマシュマロとは全くの別物だ。これはこれでアリだね」
私は顔が熱くなっていることに気が付かれないよう、マシュマロの感想を述べる柳沢くんから顔を背ける。
ていうか私……テスト勉強終わりのあの時、こんなこと柳沢くんに要求してたんだ。
そりゃあびっくりして口いっぱいに詰め込んでやりたくもなるね!手元にあるのが高級マシュマロじゃなかったら同じことしてたよ!



