よしっ、買っといて正解だった!
これだけしか入ってないのに700円もしてふざけてるのかと思ったけど。
鞄から取り出して箱ごと渡す。
だけど柳沢くんはそれを受け取ることなく、何故か代わりに私の手首をつかんだ。
「開けて中身出して」
「え?良いけど……」
「で、食べさせて」
「へ⁉」
柳沢くんはしおらしい表情を崩して、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「うちで勉強教えてあげたとき、俺に同じことさせたよね」
「……あ、そういえば!」
そうだった。勉強に疲れて動く気力がない状態の時にマシュマロをくれるというから思わず。
くっ、よく覚えてるなぁ。
「だから今度は俺の番」
椅子に座り、頬杖をつきながら私を見つめる柳沢くん。
不器用で開封作業に手間取る私から目を逸らそうとしない。
……よしやっと開いた。過剰包装だよまったく。



