「恋に色んな形があるって言われたらそれまでだけど、やっぱり漫画のヒロインがドキドキしてる感じは、私の山内への気持ちからはだいぶかけ離れてる気がしました」
だから結論。
私は山内に恋をしていなかった。
つまり……まだ恋というものをわかっていない。
「これが、柳沢くんの恋人になれない……なる自信がない理由」
私は、汗の酷い自分の手をぎゅっと握る。
ここから。ここからが本題だ。
メモ帳にさらに矢印を付け足して『解決法!!』と書く。
「だから……恋を知るために、というか柳沢くんに恋をできるか知るために、今から一カ月間、お試しという形で付き合ってもらえませんか?」
とても身勝手な提案であることはわかっている。
だけど、私なりに柳沢くんの好意に真剣に向き合いたいと思った結果だった。
ドキドキしながら答えを待つ。
三十秒……いや、一分ぐらい静かに時間が流れた後、ようやく柳沢くんが口を開いた。



