「あのさ。答えはもうわかったから。情けないけど、改めてフラれる覚悟ができてない……」
「ごめん!」
私は柳沢くんに深々と頭を下げた。
「あの日とっさに逃げ出しちゃって、本当にごめん。あの時、今は柳沢くんと付き合えないって思って……でもそう思った理由がわからなくてパニックになったみたいで、逃げたんだと思う」
「うん。だからもういい……」
「だから、自分なりにどうして柳沢くんと付き合えないと思ったのか理由を考えてきたの」
私は鞄をごそごそ漁って、一枚の紙を取り出した。
自分の考えをまとめるために、色々とメモしたのだ。
「考えてみたらね、私、まだ恋を知らないってことに気付いたの」
「恋を知らない?……山内って男のこと、好きだったんじゃないの?ていうか何そのメモ」
「うん。山内のことが好きで、告白した。……けど、その自信がちょっと今揺らいでるんだ」
きっかけは、お化け屋敷での岸井さんとの雑談にあった。



