恐怖を紛らわせる恋バナ作戦、あんまり効果ない。
でも、岸井さんがギュっとくっついていてくれるので、怖くても手は出ない。ありがとう岸井さん。
「ね、ねえもう一個教えてっ!」
「何よっ!」
「どんな時に、自分が誰かに恋してるって確信できるの?」
「そんなの……あれよ。話しただけでドキドキしてまともに顔が見られなかったり……でも一緒にいるのが幸せで、寂しいときに隣にいて欲しいと思った時とか、他の女に笑顔を向けて欲しくないと思った時とか……色々あるでしょ!」
「なるほど……。あ、きっしーさん出口!」
何度もリタイアするべきかと頭にちらついたけど、どうにか脱することができた。
最後にいた「クリア記念に握手を!」と言ってきた人と握手したらその人の手首が取れるというドッキリにも無事ひっかかった後で、私たちは大きく息を吐いた。
「もうお化け屋敷はごめんだわ……」
「同じく……」
「……ねえ、香田葉澄。その……前体育倉庫に閉じ込めたの、悪かったわね。わざわざ人が来る可能性が低い日を選んで。さすがにやりすぎだったわ」



