「ごめんなさい。コントロール悪すぎたわ……」
「友達がすみません。あの、怪我はないですか?」
わあ。ボール蹴とばした子、悪役顔だけどすっごい美人!
お友達も大人しそうだけど可愛らしくて、何だか目が潤うな。
とか余計なことを考えつつ答える。
「大丈夫ですよ。えっと……たぶん他校の人たちですよね?この後も楽しんでください!」
私が笑顔を浮かべると、二人は会釈して去っていく。
去り際に、「ねえ在花、今の女の子めちゃくちゃ素敵じゃなかった?」「うん、かっこよかった」「あ、かっこいいって言ったわね?遠坂くんに報告しとこ」「えっ⁉いや、女の子だよ?」といった会話が聞こえてきた。
とりあえず怪我人が出なくて良かったな。
そう思いながら、私は何となく行列の方を振り返る。
今のでさすがに騒ぎに気付いたようで、行列に並ぶ人たちの目が私の方に注がれていた。ちょっといたたまれない。



