廊下を進みつつ,私はそっと背筋を伸ばす。

室長,背が高くて羨ましい…

そんな風に,いつも思ってしまうのだ。

その上,ちょっとイケメン。

そのスペックの十分の一程分けて欲しいところである。



「ねぇ,もう聞こえるんじゃない? どーしたの? やっぱ日誌?」

「日誌?」



うぇぇと思いながら見上げると,室長は驚いたように目を丸くした。

え?



「じゃ,どしたん?」



他に心当たりがないと,少しビビる。



「琴音さん,もしかしてなんの検討もせず着いてきた?」

「そうだけど?」



私が室長と同じ方向に首を捻ると,室長は気が弛んだように吹き出す。



「ここでいっか。ごめん,この教室で話す」