室長は少しだけ狼狽えて,焦ったように口を開く。



「ちょっと,話があるんだけど」



鼻の頭を擦る室長は,男子特有の掠れ声で私に言った。

あ,ゲームの話じゃないんだ。

友達が多い室長だけど,私との会話は大抵とあるスマホゲーである。

じゃあ…"室長"としての会話かもしれないな。

私は呑気に考えて,うげっと思い出す。

私,昨日ちゃんと日誌出したっけ。

書いた記憶はあるものの…自信がなかった。



「着いてきてくれる?」



そう尋ねられて,私は安易に頷く。

でも…あれ? と小首を傾げた。

教室,そんなに騒がしかったかな…

教室を出ていく寸前,私は流雨くんと目があった気がした。