自然にさっと逸らされる目線。

俺も気にしないように,机の上の教科書へとずらした。

今みたいに,ちょっと側を通るとき。

すれ違うとき。

特に理由はない,時間のある時。

よく,丹羽さんと目が合う。

俺が見て,視線が返ってくるとかじゃなくて,パッと見た時に,丹羽さんが俺を見てる。

何を見てるんだろ?

流石にちょっとだけ気になった。

でも,わざわざ話しかける理由も,口実も。

何一つ見つからなかった。

いつも通り,俺は始業前のほんの時間で,この高校で新しく出来た男友達のもとへと向かった。