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…まただ。

俺,羽村(はねむら) 流雨(るう)は静かに,授業の準備をしていた。

その前を通過する,1つの人影。

何となしに顔を上げると,パチリと目があって。

向こうも小さく反応する。

丹羽 琴音。

女子の中で,もっとも変な人。

どう変かというと難しいけど。

例えば。

何故か数学の時間に公共の教科書を準備していたり。

何も悪くはないけど,早弁の常習犯だったりする。

うん,やっぱりちょっと変わってる。

そんな丹羽さんと,俺はよく目が合う気がしている。

そう感じてからは,更に。

確信を持つほど。