ほどけるいと。

「ゲームばっか,してるから,かも」



咄嗟に,嘘ともほんととも思えない言葉をはく。

何も,考えていなかった。

卯田の言う前と言うのは,多分。

琴音さんを,見てたときの話。

あの時はすんなり答えられたのに。

今だって別に,言われて困ることじゃないのに。

理屈よりも何よりも前に,絶対に言わせない。

そう強く思っていた。

久しぶりに,強く焦っている。

『琴音さんの右手に,しっかりと握られたシャーペン』

筆箱は持ってなかったのに。

焦りで頭がぐらぐらする。



「そーいや今日ゲームやんね? この前入れたスマホゲー」

「今日? 夜なら空いてる」



答える間も,平静を"装う"

今の俺は,完全に平静じゃなかった。

もしかして,俺。

琴音さんの事…

よく喋って,すぐ照れて,素直に喜んで。

よく笑う琴音さんを,頭に浮かべた。

俺…

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