ほどけるいと。

ツ…と胸が痛む。





「え,彼女いたことあんの?!」



びっくりした少し大きな声が廊下にまで響く。

そうだよね,うん。

私も驚いた。

そんなに女子と親しくするイメージがなかったから,分からなかったけど。

元々が格好いいから。

うん,おかしくない。

いつかの放課後を思い出す。

あんなに簡単に笑ってくれたから,突然のお願いもちゃんと聞いてくれたから。

きっと,流雨くんが女子に心を開くのも,そんなに難しくないんだろう。



「え? ないけど」

「は?」



危ない。私の前にあの人が声をあげてくれなかったら…

私が声をあげていた。



「どういうことー」



全部代弁してくれるクラスメートの顔を思い浮かべながら,私はそっと感謝する。