ほどけるいと。

教室でバックハグは当たり前。

お互いナチュラルにイチャイチャしすぎなの。

今ならいけるかなと会話が薄れたことに気がつき,私は壁から背を離す。



「えー,誰かなんかないの~? あ,じゃあ流雨は?」



え 「ぇ…」

流雨と聞こえて,次に反応した誰かの小さな声がした。

流雨くん?

確かにいてもおかしくない,けど。

は,離れなきゃ。

確かに私はここにいたけど,誰かのそういう話をがっつり聞く気はもとよりない。

いくら勝手に共用の場所で喋ってるとはいえ,申し訳なくなるからだ。

だけど思いの外短く悩んだ流雨くんはポツリ。



「長時間の電話とかは,絶対むり。寝かせて欲しい」



なんでもなさそうに,そう答えた。

なる,ほど。確かにそれは私も嫌。