ーどうだった?

大した話題もなく,私は尋ねる。

流雨は


『久しぶりにあちこち行ったりもして,楽しかった』


と返信した。

それを聞いて,その場面が脳裏に浮かぶ。

なら,仕方ないか…

良かったとまで思う。

私が,少し我慢すれば…

『もう遅いから』

次に来る言葉は,もう分かってる。

流雨が打ち込むよりも早く。

ーそうだね,もう寝よっか。

『うん。おやすみ』

ーおやすみ

流雨の言葉を拾うように,私は言った。

スマホを手元に置いて,もうこんな時間。

ふぁ。

こぼれる欠伸を噛み殺せずに,それは音になって口からあふれる。



「んー! ごはん食~べよ」