ほどけるいと。

「流雨ー」



なんと打つか考えていると,トイレに行っていた友人が声をかけてきて,俺は電源を切る。

見るといつの間にかドーナツを平らげていた卯田も腰を上げていた。



「移動するって」

「は」

「トイレでじゃん負けして,あいつがカラオケ奢るらしい」



にやっと,挑戦的な目を向けられ,俺も立ち上がる。

ポケットにいれたスマホが,また1つ振動した。

帰ったら,謝ろう。

琴音なら許してくれる。

そんな信頼が。

そんな気持ちが,心にあった。