「あ,そっか。いいよいいよ。もう帰る?」



特に気にする風もなく,琴音さんがふわりと笑う。

言いながら自然に片付けを始める様子を見て,もしかして,とこの後起きる当たり前の流れを予感した。

どちらも残る理由がないなら,そうなるか。

反対したいわけでもなく,けれどむずむずする感覚に,俺は押し黙って頷いた。



「あ…もしかして駅まで行かなかったりする?」



コテンと不思議そうに首を傾げた琴音さんに,俺も口を開く。



「いや,電車までは乗る。その後は迎えが来る予定」

「そうなんだ。じゃあ一緒に帰ろ。そう言えばどこ?」



住んでる場所かな。



「つづばし」

「えっ一緒! もしかして西中?」