「2人も帰るの?」



真鈴がポツリと言った。



「うん。そろそろ」

「流雨,流雨が俺より強いのは,鬼ごっこで分かった。でも,大人になったら分からないから」



答えたのは私なのに。

よっぽど捕まったのが悔しかったのか,真鈴が流雨に言う。

流雨は



「その時も負けないよ」



と,楽しげに笑う。

そしてそっと,私の手を繋いだ。

何だ何だと見比べても,どちらもなにも言わなかった。



「じゃあね,琴音ちゃん!」

「じゃあな~」

「また」



それぞれの挨拶で,3人は保護者らしき人のもとへ走っていく。



「あ…親御さんの存在,考えてなかった……」



見知らぬ男女と遊んでるのをみて,不安になったりしたのではないか…と,私は顔を青ざめた。

その横で



「大丈夫,だと思う。俺達はまだ若いし,3人とも楽しそうだから」



流雨がそう笑うから。



「そうだね」

「うん」



私もつられてわらった。