え,と私は顔を歪ませる。



「そこはちゃんと食べなよ!」

「うん」



流雨の目がすこしわくわくしているのを見て,私はふいっと顔をそらした。



「少しも食べないと,逆に胃がちっちゃくなるんだから」

「うん。食べる」



違うし。

そうじゃない。

でも…ずるい。

流雨は私を見て『開けて良い?』と,しゃがんだ体勢でお弁当をつつく。

その様子が可愛くて,私は写真を撮りたくなった。



「食べ,よっか。好きなの1つでもあればいいんだけど…」



まずは



「2口サイズのおにぎり各種,一口サンドイッチ各種…ごめんね,好み,そう言えば知らなくて…」

「全部好き」



そう言うや否や…

流雨は目で私に確認をとると



「いただきます」



ゆっくりとそう手を合わせて,手前の取りやすいおにぎりをパクリと食べた。