じゃあ…



「ば…またね」

「また月曜日」



ふるふると手を振る。

流雨も笑って返してくれた。

こんな時ばかり,迎えが来るのは早い。

LI⚪Eを見るに,お母さんは近くで買い物をしていたらしかった。



「どこ行ってたの?」

「水族館」

「え?!」



さすがに自分で買ったけど。



「帰ったら…お菓子,あげる」

「へー。クッキーかな」

「ないしょ」

「琴音,眠いの?」

「ちょっとだけ」

「楽しかった?」

「うん。ベルーガ,可愛かったよ」

「良かったね」

「うん」



私はうごうごと座り直して,手元を見た。

金色の,ベルーガも象られた小さい栞。

失くさないように…しなきゃ。

流雨がくれた。

たった1つの大事な栞。

何があっても…一生使う。

失くさない捨てない仕舞わない。

絶対に,手離さない。



「起きて,琴音。着いたよ。もー,こんな短時間で…」

「ん…おはよ」



私達の記念日デートは,終わった。



ー流雨,今日楽しかった!

『俺も』


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