ほどけるいと。

楽しむのに夢中で,お互いそんなこと忘れていた。

琴音が握った手を,俺は形を変えて握り返す。

すると琴音はピクリと反応して,耳を赤くした。



「すごいね,鳴かない時,待っても少ししか鳴かないのに」



今も絶好調に鳴いているベルーガを見て,琴音は嬉しそうに言った。



「来た記憶ある?」

「うん。割りと来てるから。でもあんまり覚えてないの」



何せ水族館は,その名にふさわしい数の魚がいる。



「ふふっ可愛い。よし,次行こう!」



琴音は俺の顔をしっかり見て笑うと,さっきまでとは違う,塞がってない手で進行方向を指差した。