ドキドキ…する。

お母さん達には彼氏がいると伝えてないから,妙に張り切って出かける私は不思議がられてしまった。



「おはよう…琴音」



最近決めたことで,まだ呼び慣れないのか,流雨は少し照れ臭そうに私に声をかける。

胸の高ぶりを抑えるために,お水のキャップを開けていた私は,驚いていつかのように溢しそうになった。



「おはよう!」



今日は記念日。

ちょっとだけ,特別な1日。



「髪,巻いた?」

「うん」



流雨に指摘して貰えて,くすぐったい気持ちになる。

流雨の前で巻くのは初めてかもしれない。



「折角伸びてるんだもん。可愛く出来るならそうしたい。それにね,ちょっと凝ったメイクも,あとちょっとで完璧なの!」