ぼそりと呟いた阿久津くんが、ムッとした顔で向き直る。
「つーか、山本も、もう頼人に話しかけられても無視していいから。あいつロクなこと言わんし」
「ええ、無視は……難しくない……?」
良い人だったけどなあ、と思い返していると、じとりとした視線に突き刺された。
「……山本、頼人のペースに乗せられそうになってたでしょ」
「えっ、そう?」
「勉強、教えてって言われて頷こうとしてた」
拗ねたように言われて、首を傾げる。
確かに言われたし、それくらいなら、と頷こうとしたけど……。
「だ、駄目だった?」
「ダメ」
即答だった。なんなら、言い終わる前に被せてくるくらいの。
だ、駄目なのかあ。
ぽかんとしていると、阿久津くんの目がキュッと細まって、唇がつんと尖る。
「……俺だって、一緒に勉強なんてしたことないのに」
そして呟かれた言葉に、胸が射抜かれた。恐らく、真っ赤なハートを携えた矢で。

