私だって、自分がこんなすぐに赤面してしまう質(たち)だなんて知らなかった。少なくとも、阿久津くんに会うまではそんなこと無かったのだから、きっと原因は彼にある。
「……じゃ、気を取り直して」
なんて言い返そうか。考えている内に抱きしめられていた身体が解放され、代わりに左手を取られた。そのまま、指を絡めるように握られる。
「帰ろっか」
誰か来たら離してあげる。そう手を引かれ、冷めやらぬ熱を持て余しながら、俯きがちに彼の隣に並んだ。
自転車通学の彼と、電車通学の私。
一緒に帰るときは、彼が駅まで送ってくれるのがいつもの流れだった。今日も駐輪場まで一緒に歩いて、自転車をゆっくりと引く阿久津くんの隣を歩く。
「そういえば、榊原くんはよかったの?」
道すがら、ふと気になって声を掛けると、阿久津くんの眉間に皺が寄った。

