「そんなに嬉しそうにしてくれるのは反則じゃん……。可愛すぎ」
「阿久津くん?」
「……なんでもない。準備終わった?」
「終わりました! お待たせしました……」
ビシッと敬礼し、リュックを背負う。ん、と頷いた阿久津くんが立ち上がると、ふと、何かを訴えるように私を見下ろした。
「……?」
なんだろう? と私も見上げる。
ややあって、薄桃色の唇が小さく開いた。
「俺は別に、毎日一緒でもいいんですよ」
「えっ」
恐らく、下校のことを指しているのだろう。
確かにここ最近は、やっと緊張より楽しさの方が上回って、阿久津くんと二人きりの空間を心地いいと感じるようになってきた。
だからこそ、今日一緒に帰れることが、こんなにも嬉しいわけだし。
でも……。
さっきのようにすぐに頷くことが出来なくて戸惑っていると、ぽん、と頭の上に阿久津くんの手のひらが乗る。

