「そうだ、山本さん今度俺に勉強教えてー!」
大きな声で手を振られて、反射的に頷こうとした。だけど。
「絶対ダメ。もー、お前、ほんと大人しくして」
それよりも早く阿久津くんがぴしゃりと強い言葉でやっつけ、教室内に残っていた残りの体も勢いよく引きずり出してしまった。
そして、賑やかな声が段々と遠ざかっていき、やがて何も聞こえなくなる。
「あ、嵐だ……」
まるで台風のように通り過ぎ去っていった二人にしばらくポカンとしてから、私は勉強の続きをすべく、ノートに目を落としたのだった。
「……まだいた」
「ひゃっ!?」
それから、どのくらい集中していたのだろう。
突如降ってきた声と影に驚いて、ぽきりと芯が折れる。驚きながら顔を上げると、目の前に阿久津くんが立っていた。
「い、いつから……?」
「今来たばっかだけど、すごい集中してたね」

