そして、私たちの横に立つと、榊原くんの腕をがしっと掴む。
「お前、何やってんの。マジで」
「は? 何怒ってんの結ちゃん」
「いいから。立って」
阿久津くんがグイグイと腕を引くと、榊原くんも不服そうな顔をしながら立ち上がる。
そのまま榊原くんをドアの方へと引っ張ろうとする阿久津くんだったけど、榊原くんは私の机に手をついて、その場から動こうとしなかった。
「ねえ結みて、山本さんのノートめちゃくちゃ綺麗なの」
「そんなの知って…………つか、勉強の邪魔すんなよお前」
「いや、教室に可愛い女の子が一人でいるから気になっちゃって」
なるほど、それでわざわざ話しかけてくれたのか。
優しいなあ、なんて思いながら見上げると、阿久津くんの眉間に深い皺が刻まれていてびっくりする。
な、なんだか怒ってる……?
「あの、榊原くん」

