「なんでごめんなさい? 全然いいよ。むしろ、ずっと見ててくれても良かったのに」
ふ、と微かに唇を震わせ、笑われる。
これは多分、からかわれてる。だってずっと視線を送り続けてたら、そんなのただの変な人だ。
「てか、ちゃんと断ったから」
「え?」
「町田のやつ」
……マチダ? 町田さん?
町田さんといえば、今日のお昼に阿久津くんに腕を絡めてたあの可愛い女の子だ。
でもどうして今、彼女の名前が出てきたのかが分からなくて、ちょっと首を傾げる。すると、阿久津くんが片眉を顰めた。
「……え、もしかしてそれ気にして見てたんじゃないの?」
「えっ、と」
それって、どれのことだろう……。
しばらく二人、無言で見つめ合う。
やがて、ガックリと項垂れるように阿久津くんが頭を下げ、長い溜息を吐き出した。
「……なんだよ。ちょっと気にしてくれたのかなって喜んじゃったじゃん」

