「……やだぁ、惚気?」
ぼんやりとしていた思考を、そんな里香ちゃんの言葉が現実へと連れ戻す。
どこか苦い顔をしている里香ちゃんに、カッ、と自分の頬が熱くなった。
「のろ……! ち、違うよ!」
「いや、今のは完全に惚気だったよ。皆の知らない彼の一面を知ってる彼女の顔だった」
「違うの、そんな、私だけじゃないし!」
彼の友達なら、きっと皆知ってること。
ただ、第一印象で決めつけられちゃうのはちょっと寂しいよな、って思っただけで。
慌てすぎて変な汗まで出てきた私に、ふうん、と里香ちゃんは全然信じてなさそうな返事をする。
そして、頬杖をつきながら、どこか胡乱げな眼差しを阿久津くんへと向けた。
「まさか、あの阿久津くんが七葉のことを好きだったなんてねえ……未だにびっくりだわ」
周りに聞こえないよう、小さな声で呟いた里香ちゃんに私も頷く。

