「阿久津くんは、七葉の気持ちが追いつくのを待ってくれてるんでしょ? なら、七葉がしっかりしてあげないと駄目だよ」
私を優しく宥め説くようなその声を聞きながら、なんだか自分が酷く優柔不断な人間に思えて、情けなさに唇を噛みしめるのだった。
十月は二度目の水やり当番の月である。
すっかり日も短くなり、沈みかけの真っ赤な太陽に照らされるパンジーに雫を降らせていると、トン、と肩が何かにぶつかった。
「わっ」
「おっと」
花壇のお世話は相変わらず楽しくて、ルンルンと夢中だったせいで反対側から近づいてくる阿久津くんに気が付けなかった。
阿久津くんにぶつかってよろめいた私を、しなやかな腕が抱き寄せるように支えてくれる。
「大丈夫?」
すぐ真上から声が降ってきて、不意打ちの近さに顔が一瞬で熱くなった。
「だっ、大丈夫! ごめんねありがとう!」
お礼を言って、急いで離れようとする。でも、どうしてか体が動かない。
あれ……?

