「え、いや……」
「それとも、俺じゃ駄目な理由が?」
もはや手伝いを申し出る人の眼光では無かった。尋問か脅迫でもするかのように机に手をついて詰め寄る阿久津くんに、鈴原くんは丸い瞳をきゅるりと輝かせて。
やがて、にぱっと夏の太陽みたいな明るさで笑った。
「いや、助かるわ! 嬉しいな、あんまり阿久津と喋ったこと無かったから。迷惑じゃないなら、よろしく」
「うん。ほら頼人、持って」
「いや持つの俺かーい!」
榊原くんが溌溂とツッコミながらも、次の授業で使う鈴原くんの教材を小脇に抱える。そのまま三人を追うように他にも何人か生徒が追いかけて行って、私と里香ちゃんは一連の流れを、三人の姿が見えなくなるまで呆然と眺めていた。
「びっくりした……」
「私も」
予言した本人のくせに、里香ちゃんまでそんなことを言う。
ちらりと見ると、里香ちゃんは首を竦めた。
「流石にほとんど冗談で言ったから、本当に来るとは思ってなかったの。……でも」

