「ほら着いたよ。七葉、危ないから前向きな」
思わず固まってしまった私を、里香ちゃんの声が引き戻す。
ハッと視線を上げると「美術室」と示されたプレートが視界に入って、私は慌てて教室内に駆け込んだ。
美術の授業は基本的に自由席になっていて、まずはなんとなくいつも座っている席に自分の教材を置いてから、さて鈴原くんは……と辺りを見回したところで、鈴原くんと里香ちゃんが同じ席にやって来た。
四人一席の大きな机。隣に里香ちゃんが、向かい側に鈴原くんが座る。
「折角だし俺も一緒にいい?」
断る理由も無く頷く私を、里香ちゃんがもの言いたげに見つめていた。
「あのね、七葉、かんっぜんに呑まれてるからね」
「な、何に?」
「鈴原のペースに」
お昼休みにやってきた食堂の一角で、里香ちゃんは箸の先でビシッと私を指した。お行儀悪いよ、里香ちゃん。

