「私から見れば、確実に鈴原は七葉のこと気になってるよ」
「う〜ん……」
「鈴原が本気になったら、七葉なんか絶対躱せないんだから、気をつけなよ」
「う、ううん……」
そうかあ。そうなのかなあ。
「阿久津くんに嫌な思いさせたくないなら、七葉もちゃんと自衛しなきゃ」
ね、と念押しされたところで、予鈴が鳴り、クラスメイトがバラバラと教室に戻ってくる。
その中には当然鈴原くんの姿もあって、自然と話題は打ち切りになった。
正直なところ、阿久津くんや里香ちゃんにどれだけ言われても、鈴原くんが私を気になってる、っていうのは、どうしてもピンと来なかった。
けれど、里香ちゃんの言う通り、阿久津くんに嫌な思いをさせたいわけでも、阿久津くんに不安そうな顔をさせたいわけでも無い。
だから、まあ、なるべく二人きりにはならないようにしとこうかなあとは、なんとなく考えていたのだけど。
(そういう時に限って、二人きりになってしまう)
私は、ドアの陰から教室内を覗き見て、こっそりため息をついた。
窓から射し込む夕陽が、校舎内をオレンジ色に染める頃。
普段ならもうとっくに帰宅しているのだけど、今日は調べ物があって図書室に籠っていた。

