週末の店は、やはり朝から混み合う。

 県内の中心都市に近い、新興のベッドタウンである街の商業核は、家族連れにとっても恋人たちにとっても友人たちにとっても、週末を過ごすにはもってこいの場所だった。

 特にショッピングモールのすぐ隣にある古本屋は、ふらりと立ち寄りやすく、立ち寄れば中古品ではあるもののゲームや本が安価で手に入り、購入に至らなくても立ち読みで大いに時間をつぶすことができる。
 おかげで店内は混み合い、レジもひっきりなしにお客さんが並ぶ。

 また、買い取りも多い。週末に家の片付けをしていて、せっかくだから売りに行こうと、大量の物が持ち込まれる。しかも段ボールや衣装ケースに押し込まれている確率の高いこと。

 そんな週末は、朝番昼番夜番の三交代制での勤務形態で、多くのスタッフが動員される。
 販売、買い取り、商品化、品出し、とやることは同じであるものの、勤務時間帯によって求められる動きは異なる。

 買い取りや販売が多い朝番は、スピーディーに買い取り査定を行わなくてはならない。だらだらと査定をしているうちに、次のお客さんが来てしまう。
 速やかに査定と買い取りを行い、買い取った物はレジカウンターのすぐ後ろにあるスチールのブックラックにどんどん放り込んでいく。
 元々設定されている買い取り金額から値引きしての買い取りだった場合、値引きの金額や理由を書いたメモを貼るのを忘れてはいけない。

 夜番は買い取りも販売も少なくなるので、夕方までに買い取った物を次々と商品化していく。
 本はアルコール消毒ののち、ラベラーで値段をつける。ゲームソフトやCD、DVDは、ディスクに傷があれば研磨機へ。そのソフトを、品番を書いた不織布の袋に入れて、奥の棚へしまう。POS管理の商品のバーコードシールを印刷し、ケースは売り場へ。在庫確認をしつつ品出しをする。
 夕方までにどれだけの物を買い取ろうが、必ず買い取り済みのブックラックを空にし、すかすかの商品棚を一杯にし、翌朝の開店に備えなければならない。

 昼番はそんな朝と昼を繋ぐポジションで、速やかな買い取り販売と、確実な商品化品出しのどちらも求められる。

 わたしは面接時に時間帯の希望を出さなかったので、朝も昼も夜もまんべんなく放り込まれていた。
 朝は家庭を持つ奥さまたち、夜は学生さんたちが多いため、時間の融通がきく社員、準社員、フリーターたちは、恐ろしく変則的なシフトを組まれることもままあった。