30分ほどして上司はやってきた。

「朝から何も食べてなかったからお腹すいちゃったわ」

彼女はアイスコーヒー、ナポリタン、野菜サラダを注文した。

僕は玉子とハムのサンドウィッチを注文した。

彼女は午前中、新規の契約を取ってきたようだ。

我々の仕事はOA機器を売り搬入から取付までを行う。

コピー機のような大きい物の場合は二人で取り付けすることもある。

彼女は男性が多い営業職の中でも一際成績を上げていた。

成績もまずまずな僕を誘ったのはきっと頼みやすかったからだろう。

昼食を終えると僕は煙草に火をつけ外を歩く人々を眺めていた。

彼女はお店の洗面所に行き化粧をしなおしていた。


お店を出たのは13時過ぎだった。

営業先までは車で40分ほどだった。

そこはスポーツジムだった。

なるほど。

たしかに最近のスポーツジムは様々な通信機器を使い、お客さんにわかりやすいように体の動きを説明している。

僕の会社も通信機器を取り扱っていないわけではないが、利益率の高いOA機器がメインになってくる。

受付に行くと若い男性と女性が並んでおり女性が応接間へと案内した。

数分後、一人の女性が入ってきた。

スポーツジムで働いているだけあってか体は引き締まっていた。

肩まである髪を後ろで束ね、上下スポーツウェアだった。

実年齢よりも若く見られるに違いないと思った。

今回の相談はジムの中で使っているタブレットと事務所で使うコピー機を連動させたいというのが主旨であった。

僕はカタログを広げて彼女に商品説明をした。

彼女は頷きながら、なるほどと呟いた。

せっかくなので新しいタブレットやWi-Fi機器の営業も行なった。

これだけの事務の規模であれば、それなりの数は売ることができると思ったからだ。

結局、タブレットもWi-Fi機器もまずはお試しで一台ずつの注文を取り、コピー機に関しては契約となった。