「じゃあ、俺帰るわ」
「う、うん。ありがとう……」
 亜樹と別れてすぐに私は朝陽の家を出た。
お父さんの見つけたマンションに両親より先に引っ越すことになったから家具とかを買うように言われ……朝陽に購入から全部やってもらった。
「えっ? 応時くんと別れた!?」
「うん……」
 今日は、休日で今は誰もいない新しい新居に菜央を呼んで夕ご飯。
「……もしかして私のせい?」
「ちっ、違うよ……菜央の言葉もあったけど、ある人に言われて、このまま亜樹と付き合ってていいのかって考える様になったの」
 本当は亜樹より先に言うつもりだった……けど、『先に話させて』と言われちゃったから。
「びっくりなのは千紘が振られたってことだわ」
「え、なんで?」
「だって応時くん、千紘のことすっごい好きだったから」
 菜央は「高校のあの合コンだって、千紘が参加するって聞いて参加決めたんだよ。そんくらい好きだったんだから」と付け加えた。
「そんな、知らなかった……」
「千紘は知らないだろうね、というか誰も知らないよ。知ってて教えてくれたのは綾だよ」
 そうなんだ。なんか本当に、亜樹には失礼なことばっかりしてた……。
「朝陽さんには気持ち伝えないの?」
「伝えるよ、でももう少し自分と向き合ってみようかなって……だから─︎─︎」
 ピーンポーン……突然インターホンがなり、菜央に一言だけ言って扉を開けた。
「朝陽……!?」
 今、朝陽のことを話していたら本人登場だなんて……。
「千紘、突然ごめん……話がしたくて来たんだ」
 話……? 菜央がいるし……今日は断ろうって思った時。
「あれ、朝陽さん?」
「ああ……そういうことか。次の機会にするよ」
「わ、私帰るんで大丈夫ですよ!」
 菜央は既にカバンを持ち帰る気満々で、「じゃあさようなら〜」という感じで帰って行った。