「お邪魔します……」
「うん、前よりは狭いけど」
 火事の翌日、朝陽の部屋にやってきていた。理由はもちろん住む場所がないから。
『千紘、お父さんとお母さんはしばらく会社の寮に住むことにするから』
『え? 私はっ?』
『会社の寮から大学は遠いし、短期間の大学寮には入れない。彼氏の部屋はもちろん却下だ。』
 じゃあ私はどうすればいいの……娘を路頭に迷わせる気?
『そこでだ、千紘。一番信頼できる朝陽くんに頼んだ。』
 両親の本人には相談なしで決めたことにより、私は朝陽の家にしばらく居候することになってしまった。
「……彼氏の家の方が良かった?」
「へっ!?」
「動揺しすぎ……ははっ、大学生になっても変わらないな」
 朝陽が懐かしそうに微笑むから私はなぜか胸が締め付けられた。私は、亜樹が好きなのに。もう、朝陽は過去のはず……。
「まあ、良かったな。おばさんは無事だったしお前も……千紘も無事で」
「……うん、ありがと」
 ねえ、どうして……? 私、ドキドキが止まらないんだろう。まるで、朝陽に恋してるみたいでなんだか辛い。
 こんなんでしばらく、朝陽の家にいられるのかな。