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(朝陽side)
 
「朝陽〜? まだ彼女いねーの?」
「……いないですけど」
 千紘と別れて二年経つ……千紘、元気かな。ずっと会ってない。
「そろそろ作らねーと、すぐに四十だぞ」
「俺は……いいです、あいつ以上に好きになれる奴いないですから」
 俺はずっと千紘が忘れられずにいる……だけど一度、付き合ってみたことある。でも、どうしても……千紘以上に好きになれなくて、何度も千紘と重ねてしまっていた。
「……未練タラタラだな」
「そうですよ、未練ありまくりです……でもあっちはきっと彼氏いますよ、大学生ですからね」
 きっと、あの応時くんと付き合ってるのかなぁ。
「まぁ、大学生なら遊びたい盛りだし。仕方ない。朝陽もいい加減に前に進めよ」
 それが出来たら苦労してないですよ。
「山内さんは彼女さんと婚約したんですよね? 入籍はまだですか?」
「入籍は彼女の誕生日にする予定だよ」
 先輩の山内さんは婚約中の彼女がいる。顔には出さないが、休憩中に彼女と顔を緩めて電話しているのを見たことある。あれはデレッデレだ。
「じゃ、お疲れ〜」
 ご飯を食べて、次には行かず帰ることにした。まだ街は明るくて……酔っ払いも、ホストやキャバ嬢も客寄せやったりしていて賑やかだ。
 そんな時、目の前でオヤジたちに絡まれている女の子……これは、助けなきゃダメなパターンだよな。それに、千紘と同じくらいっぽいし大学生くらい?
「なにやってんの? おっさん二人がかりで、女の子に」
「はぁ!? なんなんだよっ」
 殴られそうになり、自己防衛で交わすと彼らは逃げていった。
「……大丈夫だった?」
「はい、ありがとうございま――え」
「ち、千紘……?」
 千紘は、黒かった髪を茶色に染めて大学生って感じの格好をしていた。久しぶりに会った彼女はすごく……大人っぽく綺麗になっていて、閉じ込めていた想いが出てきそうだ。
「あさ、ひ……」
 彼女の声を聞いて、理性が抑えきれなくてぎゅっと抱きしめてしまった。